自己紹介
2012年
祖父が他界しました。
私の結婚式に参加し、数カ月後のことです。
結婚式から遡ること1年、
2010年に祖父は頚椎を損傷し
両手両足まひという障害を持つことになりました。
その名の通り、手も足も思うようにならず、
誰かの介護がなければ動くこともできない状態です。
医者は「もう歩くことはできません」と
祖父に伝えました。
しかし、祖父は動けるようになることを諦めず、
障害と向き合って戦うことを決意しました。
祖母とふたりきりの住宅で、長い間リハビリを続けたのです。
リハビリは簡単なものではありません。
両手両足の動かない祖父にはとても辛く険しい道のりで、
いつも祖母が傍らで見守っていました。
思うように動かずイライラしたこともあるでしょう。
挫けそうになったこともあるかも知れません。
ですが、そうして時間をかけてリハビリを続けた祖父は、
少しずつですが、手足の感覚を取り戻していったのです。
2011年、私の結婚式が決まりました。
祖父の状態を知っていた私は、「やっぱり参加は無理かな…」と、
祖父に私の晴れ姿を見せることを半ば諦めていました。
しかし
結婚式の当日、
私の家族の席には祖父の姿がありました。
「もう歩けない」と医者に言われた両手両足のまひを乗り越え、
私の結婚式に、自分の足で、参加してくれたのです。
完全に治ったわけではありません。
普段は車椅子も使います。
それでも…祖父は全く両手足の動かない状態から、
杖がなくても10m近く歩ける程にまで回復したのです。
あの時祖父が来てくれた嬉しさは
生涯忘れることはないでしょう…
それから数カ月後、
祖父はとても安らかな顔で眠りにつきました。
私は理学療法士として、障害を持った方と
常日頃向きあっています。
祖父の姿を見て、
「祖父は全く手足が動かない状態でも、リハビリを続けることで少しでも歩けるようになった…正しいリハビリをすることが出来れば、きっと完治とまでは行かなくても、ある程度まで回復することはできるんだ」ということを学びました。
私は祖父の歩く姿を見て、本当に嬉しかったです。
この嬉しかった気持ちを、マヒを抱えた患者さんを持つご家族の方へ、
体が動く喜びを、マヒを抱えている患者さんご自身に感じて欲しいと思い、
今この仕事に取り組んでいます。
私は以前から様々な介護を学び、研究してきました。
日本の介護だけでなく、海外の介護の方法についても同様に
セミナーや本、DVDのなどを取り寄せました。
そして、それらの介護の仕方を比べる中で、
日本のまひを抱えた患者さんたちにできることがある事を
知ったのです。
ただ、残念ながら今の日本の介護業界のシステムを考えると、
病院という集団の中で私の見つけた介護を行うことはできません。
なぜなら、私のやり方は病院と違い、
一人ひとりとしっかり向き合うことで、
初めてできるようになる方法だからです。
大勢を相手にする病院では
どうしても一人ひとりに割ける時間が少なくなり
丁寧に向き合うことも出来ません。
ですが、この介護は必ずご家族の方や
まひを抱えた患者さん本人にも役立つ方法です。
だからこそ、私はこういった場を通して
新しい介護の在り方を広めていきたいと思い
このホームページを立ち上げました。
もしあなたがまひを抱えるご家族と一緒に過ごしているのなら、
また、大切な人がまひを抱えてしまったのであれば、
一緒にまひという障害に向き合っていきましょう。
2012年7月30日